そして、あらゆる傾向のうちの最大のものに最大の限定が課されねばならない。それは死すべき者と不死の者どちらとも敵対する巨人主義(タイタニズム)である。巨人主義は、無限のもの、限定されえぬものを憧憬する。これは現在の心理学において無限の自己の概念として表されている。
したがって本書は自己に関する本ではない。自己援助、自己分析、あるいは自己改善の役には立たない。自己について語ることは、神々について語ることではない。私には巨人主義を鼓舞するつもりなど毛頭ない。これはナルシシズムよりはるかに大きな脅威であって、自己の巨人的誇大に比べれば、ナルシシズムなど物憂げな優男にすぎない。
『魂の心理学』ジェイムズ・ヒルマン, 青土社 P.13

『叡智の台座』の最終章で、井筒俊彦河合隼雄と対談していたのがジェイムズ・ヒルマン。